孫社長のUstream新卒向け会社説明会。そしてテレビの未来。

Ustreamにて本日15時から開始されたのは、ソフトバンクの新卒会社説明会。会場には抽選で選ばれた5000人の学生。そしてUstream配信にもまた5000人、合わせて1万人以上の人間が、2時間半にも及ぶ孫正義社長の独演に耳を傾けた。

ソフトバンク設立の歴史、孫社長の昔から一貫している志、展望、などを熱く語るさまには、会場にいた学生もきっと胸を撃たれたに違いないと思います。おそらくこれからもtwitter上でも話題になることで、RTも増加するでしょう。後からでも再生できるらしいので、ライブで見れなかった人も、是非一度通して見ることをお勧めします。

そんなすばらしい2時間半の「コンテンツ」を提供してくれた孫さん(ここでは「コンテンツ」とは「人が時間をかけて消費するもの」としましょう)。このイベントに、マスメディアはどう接していくのが正解なのでしょうか?Ustream配信こそされましたが、テレビで放送されることはなぜないのでしょうか?

平日の昼間の時間帯だから?

何も孫さんの記者会見に限らず、世の中には「圧倒的に正しいコンテンツ」がたくさん存在しているはずです。
「圧倒的に正しいコンテンツ」とは、物理的な問題で一部の人にしか知られていないだけで、自己できちんと完結していて、かつ影響力も膨大で、自分なりの正義ももっていて、自己判断もできていてっていう、そんなコンテンツです。それは「真理」に近いようなものかもしれません。
ジャーナリズムとメディアの関係について、僕は言及できませんが、マスメディアの価値、これまでに何度も述べてきた「エンタメ」以外の領域では、この「圧倒的に正しいコンテンツ」の伝搬が必要不可欠です。
それは今、例えば一社提供番組のような形で実現されている様子に近いかもしれません。

それはこれまで、NHKの大型ドキュメントとして特集がくまれてやっとテレビで放映されるようなもの。どこかの雑誌が独占記事を組んで、雑誌の売り上げを何倍にも引き上げるようなもの。
例えば、かつてのスラムダンク1億冊感謝キャンペーンの全貌インタビュー記事を、あるひとつの雑誌にだけ掲載し、その雑誌は記録的な売り上げを誇った。でも、契約の形的に、雑誌側はこのキャンペーンの仕掛け人にも、もちろん作者の井上さんにも、「雑誌が驚異的に売りあげられた」ことへの対価は一銭も支払われません。正直いって尺だけど仕方ないよねと、コミュニケーションデザイナーのかたが漏らしていたそうです。

媒体と「コンテンツ」同士の関係が、こんなものでいいはずはありません。少なくとも、コンテンツの輝きに媒体が乗っかるなんてことがあってはいけません。

これからのマスメディアは、世の中の空気を作る役割を担わなければいけません。
待たれるのは「バイヤー」の存在。
まったく斬新で、独創的で、かつ今この瞬間にも旬なものを見極め、それを放送決定する、という制度の構築が不可欠です。それはこれまでのジャーナリストの取材やら、PやDなどの仕事のどれにも当てはまるようで、当てはまらないような仕事。

そう遠くないうちに、テレビ番組も有料か無料か、過去の番組を自由に見れる時代がくるかもしれません。用意するチャネルの数と内容の数のバランスも、調整が起きることでしょう(多チャンネル化は期待薄ですが)。

例えばテレビを広告収入で成り立つものとして見たとき、PVが絶対不可欠になると思います。というかそれは視聴率の問題なのですが、それ自体いまは風前の灯、成り立たなくなっています。
一社提供、企業番組には、一部コンテンツ的な側面があって、それ単独で存在できる力があります。
そういう番組の力と、「ネット」という様式ではとることのできない。多人数に見せつける放送形態とのバランス。
この割合を手さぐりしながら見つけないといけないと思います。
見逃したときは過去に遡って視聴できるようなシステム時なものも、よい補完剤になるでしょう。


・・・
最期にこっそり。
そういう一社提供番組まで、テレビというものの融通が効くようになれば、
広告専門チャンネルも不可能ではない。
自分のつくったものに自分の名前を刻むような広告クリエイターの誕生も不可能ではない。。。